本当は直前まで本気で戦うつもりだった。戦えると思い込んでいた。
覚悟も出来ているつもりだった。けれども 実際にはガタガタと情けなく手は震えて それを収まらせる程の力を私は持っていなかった。
ギンの刃を受け止めたとき 何にも変えがたい恐怖がアタシを襲った。
そこで死んでしまいそうなほど 怖かった。
怖くて体が動かなかった。
ヒュッと細く息を吸い込むと 冷たい空気が肺を突き刺して 眩暈がした。
あたしはギンのその目を見ながら 何度も心の中で呪文のように呟いていた。
早く 早く 何処かへ行ってしまって と。
でも気付いていた。同時に叫ぶ声が自分の中にあることを。
やだ。此処に居て。何処にも行かないで。
きっと 彼には両方聞こえていたのだろう。隊長に笑いかけるその直前に あたしの自意識過剰でなければ かすかに彼はあたしに向かって笑った。
悲しい 笑顔だった。
その表情が全てを物語っている。
見れない怖い見たくない。
けれどもそれは アタシの意思なんてお構いなしに流れ込んできた。
アンタが何を考えているかなんて あたしには検討もつかないけれど けど これだけはわかった。
間違う筈が無い。
貴方を一番理解しているのはアタシだと 最後まで自惚れさせて。
確信めいたものが自分の中に生まれた。
アンタはもう
アタシの隣には
帰って こない。
ほんの少しだけ 世界が滲んで揺らいだ。
アイシテイタヨとアンタは囁く
アイシテイルヨとアタシは返す。
誰もしらない アタシとアンタのテレパシー。
誰も理解出来ない 二人の通じ会い。
せめても自惚れさせて。
アンタに縛り付けられているアタシでも
少しぐらい アンタを縛る事が出来ると。
+戻+
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::後書::
短ッ…。
日番谷vsギンの後の乱菊さん乱入時のです。
わかりづらい。一人語り。
どうも一人語りが多いな…;