鉄格子の向こうにいる君はやけに遠くて
鉄格子の向こうにいる君に僕の事は映っていなくて。
僕は一生懸命にスキマから手をのばすのだけれども
君には あと1cmで触れられない。
喉が 乾く。
何故 と 己が聞く。
君が泣いている。
だから 僕は
手を 伸ばしたのに。
君が 泣いて いるのに。
涙を流して 哀しんでいるのに
何故
触れられ ない?
鉄格子が 邪魔をする
囚われている
「雛森」
頬に涙の軌道を残した彼女は 静かに寝息をたてている。
触れられない
もう少しで 君の髪に届くのに。
「ひなも り」
届かない
囚われている 鉄格子に。
鉄格子の向こうに君がいる。
囚われている。
どちらが?
俺が。
その瞬間 ぎゅぅと胃がすくむ感触を覚えた。
品書戻
::後書::
あまりにもまんま過ぎるお題だったので 逆に手こずってしまいました。
短い…ですよねぇ…?
胃がすくむ感触 って表現が なんか好きです。