吐く息は白く

 空は青い。

 流れる血は紅く


 俺は、汚い。


 街は哀しくなる程明るかった。
 仰ぎ見た薄っぺらい冬の空は、まるで彼を押しつぶすかのように圧力をかけてきた。
 松本はぶるりと身震いをして、そそくさと地獄蝶を放つ。

「帰りましょう、隊長。」

 その声に、日番谷は反応しなかった。

「…隊長。」

 二度目の声に、日番谷はやっと彼女に目を向けた。
 少しばかり色を失った、虚ろな目。

「帰りましょう。私、ここ嫌いだなんです。」

 きつめの声の松本に、こくりと頷きかえして日番谷は一歩踏み出した。
 こんなに息は白いのに、なんでこうも俺は汚れているのだろうかと自問しても、応えが出てくるはずはなかった。

感情は洪水のように溢れ出しては、流れて出てゆく。
 波は引き潮

 鮮血に染まった掌を握り締めると、まだ、温かかった。



 無造作に捨てられた、ガラクタの廃墟で吐いた息は、あまりにも白すぎた。












::後書::

リハビリ…
短い…