061.依存症
君が居なければ 僕は立つ事すら出来なくなるんだ
依存症。
君の笑顔に助けられてる
君の涙に助けられる。
君が帰ってきた俺の為に笑うから
君が怪我した俺の為に怒るから
君が倒れた俺の為に涙を流すから。
−だから 俺は。
062.誰にも言えない
誰にも言えない秘密を 君の耳元で囁こう。
小さく囁くから
かすかに囁くから
ちゃんと 拾っておくれよ。
二度目は言わないから。
アイシテル。
君の頬とボクの頬 どちらか今赤いだろうか。
063.フラッシュバック
※100年後注意
映画のように蘇る。
二つ括りの彼女が 笑いながら手を差し伸べてきたあの日が。
差し伸べられた手は 幼くて小さな手だった。
その手を掴もうと伸ばした自分の手は もっと幼くて小さな手だった。
あれから 幾つ月は満ち欠けを繰り返したのだろうか。
あれから 幾つ季節は巡ったのだろうか。
微笑んでくれよ 甘い人。
あの時と同じ唇で
あの時と同じ台詞を
囁いておくれよ 甘い人。
「これで、家族だね。」
抜け出したかった家族に もう一度戻ろう。
今度は弟じゃなくて。
今度は弟じゃなくて。
064.はばたき
一、ニ、三で羽ばたいて。
君はほら、まだまだ飛べる。
だけど、だけど疲れたら
もしも羽を休めたくなったら
帰っておいで、僕の元へと。
肩は、何時でも君の為に空けておくから。
日番谷は、酔っ払った挙句ぶっ倒れた雛森を背中に背負った。
背負おうとしたときに、思わず「よいしょ」と声に出してしまい、自分の親父臭さに一つ溜息をついた。
彼女が酔いに任せて発した言葉の一つ一つが、頭の中をぐるぐると回っていた。
「飛べるよ」
「けどね」
「もう、疲れたの」
どういう意味で言ったのかは解らなかった。
起きてから問い詰め様にも、どちらかといえば彼女は記憶の残らないタイプだ。
覚えている確証もない。
そうなると、また想像は膨らむ一方だ。
(…嗚呼、疲れた)
そう思って、日番谷は取り留めの無い思考を止めた。
ただ、止まり木になろう。
そう、何気なく心に誓った。
065.大好き!
※100年後注意
あたしは何も出来ないけどね
あたしは無力だけどね
でも
貴方を愛していても、いいかな。
日番谷に抱きつき、彼の胸板に顔を押し付けて、彼女はそう言って笑った。
同じように笑いながら、彼はゆっくり、ハッキリと返した。
あたり前だろう。
じわり、と笑う彼女の瞳が濡れた。
ぎゅ、と、手に力を込めて、彼女は彼を見上げて太陽のように笑った。
大好き!
知ってるよ、と彼は笑った。
左手の薬指に光る銀色の指輪が、その証だった。