076.花
綺麗な花を君に捧げよう。
誰にも負けないぐらい想いを詰めた花を
誰にも負けないぐらい綺麗な君に。
花の香りと、太陽の匂いが
誰よりも似合う、君に。
君の笑顔に添えるには、やっぱり花が一番似合うから。
077.サボリ決定
※パラレル注意
「ちょ、ちょっと日番谷君?!何処行くのっ!」
悲鳴のような声を発する彼女の腕を引きながら、日番谷はご機嫌に歩いて行く。
登校してくる様々な人々の目線を一身に浴びながら、人の波に逆らうようにして教室から校門へと進む。
一歩。
校門の外へ出た、そのタイミングで鐘が鳴った。
「サボリ決定、だな。」
満足気に笑う彼に引かれ、街へと繰り出した。
雛森にとって生まれて初めての「サボリ」だった。
078.屋上
※パラレル注意
屋上が、好きだった。
一時間目から昼休みまでの授業時間内に、ここに現れる者は居なかった。
綺麗な風が吹き込む。
誰にも邪魔されずに飛んできた風と出会える事が、彼にとっては何よりも至福だった。
風は、彼の憧れだった。
がちゃり。
無機質な音に反応して扉の方を向くと、一人の少女が立っていた。
きょとんとした顔。
進入を厳しく禁止されている、不良の溜まり場にもなっている屋上には、似合いもしない人物だった。
推薦で半強制的になったといっても、仮にも風紀委員長である彼女。
名前が思い出せなかった。
「日番谷君?」
その桃色の声音で名を呼ばれた瞬間、彼女の名前を思い出した。
059.ソックス
※パラレル注意
「ねぇ、知ってる?」
「ハイソックスの外側にね。」
「赤いリボンを結んだのを、縫いつけるの」
「リボンの内側には、スキなヒトの名前を書くの」
「それを夜履いて寝ると」
「恋が、かなうんだって。」
そう話ながら書いていた彼女の手元をさり気なく覗けば、可愛らしい文字で「T.H」と刻まれていた。
「かなってるだろ、既に。」
真顔で言うと、彼女は噴き出した。
060.イノセンス
汚れていない君、の笑顔。
汚れていない、君の笑顔。
無邪気な君の笑顔に罪はなく
それでも神は君を裁く。
「行ってきます。」
そっと、未だ目の覚めぬ君の額にキスを落とした。