136.高いところ
「怖い怖い怖い怖い怖い怖いっ!!厭、手、離しちゃ駄目ぇっ!!」
耳元で物凄い大音量を響かせられて、日番谷は顔を顰めた。
「解ったから少し静かにしとけよ」
ぎゅぅっと強く腕を掴んでくる雛森にそう云って落ち着かせようとしたが、あまり効果は見られなかった。
今、2人は上空15kmぐらいのところに居る。
大体足下を霊子で固めているのだから、落ちる筈はないのだが、彼女の頭にはそんなことは欠片も無いらしい。
高いところが大の苦手なんだと自分で云ってはいたが、ここまでとは思わなかったと日番谷は小さく溜息をついた。
足下に広がる折角の夜景も、見る余裕はなさそうだった。
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137.ダンス
その多くの人の中でも、彼を見付けるのは容易かった。
ダンスパーティーなど誰が発案したのかと疑問に思うが、そんなことは後でいいだろう。
まずは楽しむことが最優先だ。
彼も直ぐにこちらに気付いたようで、少し含み笑いをしながらこちらへと近づいてくる。
とくん、とくんと音楽が鳴く。
「…一緒に踊って頂けませんか?」
態とらしい他人行儀のセリフに思わず噴き出してしまう。
一通りクスクス笑った後に、気を取り直して顔をあげる。
「ええ、お願いします。」
そして、どちらともなく笑いあった。
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138.うっかり
「………。」
「うっかり、じゃ済まねぇぞ」
呆れた声の日番谷に、雛森は小さく「う」と呻いた。
「だって、だってね?」
雛森はむぅと頬を膨らませて反論としようとしたが、言葉が見つからなかったのだろう。すぐにしぼんでしまった。
「…ま、別に良いけど。」
そう投げやりに云って日番谷はしゃがみ込み、散らばった書類をかきあつめ始めた。
申し訳なさそうに雛森はしょんぼりとしながらそれを手伝った。
それを見ていると、何だかこっちが悪い気がすると日番谷はいつも思う。
仕方ねぇ奴、と小さく日番谷は呟いた。
「今度、どっかつき合えよ。」
仲直りのことばに、雛森はぱぁっと顔を煌めかせた。
「ほんと?!」
「嘘ついてどうすんだよ。」
吐き捨てるような日番谷の言葉にも、雛森は嬉しそうに笑った。
あたし、最近美味しいところ見付けたんだよ、と。
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139.春
気付いたら、春の風が吹き始めていた。
布団の中でくしゅんとくしゃみをする。
温かくなってきたので気を抜いたら、あっという間に風邪を引いてしまった。
(莫迦だなぁ、あたし。)
そう思いながらも頬が緩むのは、近づく霊圧を感じているから。
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140.永遠
永久に続けばいい
永遠に止ればいい
俺は、ただ、ここでお前を守っていたい。