141.砂

 指先から
 少しずつ、少しずつ零れていったそれは
 砂に混じってしまってより分けるコトが出来なくなってしまった。

 だから

 砂ごと、抱きかかえているんだ。


142.チーム

「二人一組のチームだからな」

 そう念を押す教師の言葉を横流しにしながら、日番谷は手にした数字を睨みつけた。
 上級生との特別演習のペアを決める数字だ。

 めんどくさい。

 何度思ったか解らないその台詞を、心の中っで繰り返す。
 確かに普通の生徒ならば、良いスキルアップになるだろうが、彼にはもうそこらの上級生では相手にならない。
 『18』の数字が恨めしくて仕方無かった。

「10番から20番までの奴は第三演習所に−…」

 指定された場所に移動するため、面倒ながらに席を立つ。
 そこで待つ同じ番号を持った少女に思わず驚愕して、日番谷が在学中唯一驚いた時と伝説になるのは数分後の事。


143.嘘

「大丈夫だよ」

「嘘つけ。」

「大丈夫、だってば」

「嘘。」

「…ホントだよ」

 じゃぁ、何で泣いてんだよ。


144.リズム

 不変じゃないそのリズムが好きだ。
 不変じゃないそのリズムが怖い。

 どくん、どくん

 今だけは、貴方の心音に抱かれて。


145.カメラ

※パラレルネタ注意

 シャッター音が響く。
 その度に彼女の表情が変わる。

 生まれて初めての人の被写体、それが彼女だった。
 今も彼女以外をメインにした写真を、このフィルムに収めたことはない。

 時折、ふと彼女が目を細める。
 そうすると、俺はシャッターを切るのをやめる。

「桃。」

 そう呼べば、彼女はふわりと笑う。
 モデルの時の彼女の表情も好きだ。
 けれども、やはりこの彼女が何よりもいとおしいと思う。

 俺と一緒でないとフィルムに仕舞われてくれない、この彼女が。










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