151.双子

 似ている、けれども全く違う生き物。
 僕等は双子のように想いを共有し、そしてバラバラに仕舞った。

「あの時、日番谷君ってさぁ…。」

 そう言ってお前は楽しそうに過去を語る。

「忘れたな、んなこと。」

 そう俺が言えば、お前は寂しそうに顔をゆがめる。

 俺にとって、あの時の思い出に意味はない。
 今、お前がここにいること。
 これから、お前がここにいること。

 それだけが、大切なことだから。


152.ふわふわ

 四六時中ふわふわとしていて
 繋ぎとめていないと、何処か飛んでいってしまいそうで。

 風船を握り締める幼い子供のように

 俺は、その手を強く強く握った。


153.静寂

 静寂が世界を包む、その白銀の夢の中で俺はアイツと出逢った。
 まるで豪勢な無声映画のような空間だった。
 画面を彩れない代わりに。そういいたげなほど、こまごまとしたものも美しく映し出されている。
 一面に積もった雪。隅っこで器用に立っている、歪なスノー・マン。二組だけの足跡。バス亭の前。

 そこで君は微笑む。何故か寒さを感じさせない、真っ白いワンピースを風に揺らしながら。
 口を開く。やはり音は零れない。それでも君の口は、大きく確かに言葉を刻む。

 や っ と あ え た ね 。

 俺は言葉の代わりに小さく頷いて返事を返す。きらりと、空が輝く。
 そこで、俺の夢は途切れた。


154.うれしい!

 今日も明日も明後日も。

 そうやって、嬉しそうに君が其れを抱きしめるから

 今日も明日も明後日も。

 俺の頭は、お前で一杯なんだよ。


155.フルーツ

 甘酸っぱい、味。
 俺はその味が苦手だった。
 彼女はその味が大好きだった。

 目を瞑れば、広がる味。

 好きになれたのは、君の唇のおかげ。










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