216.世界樹

 ユグドラシルの下で会いましょう
 二度と別れなど来ぬように
 いつまでも共に居られるように

 片時も離れずに
 貴方の左手と左足に成れるように。

 だからどうか貴方は
 私の右手と右足に成って。

 そうして、誰にも邪魔されずに
 二人で此処に居ればいい。


 ユグドラシルの下で会いましょう


217.注目の的

「なあ、雛森、目線が痛いんだが。」

 冷静沈着に放たれる台詞に、雛森は泣きそうな声を出しながら日番谷の腕に縋った。

「あたしに言わないでようぅ…」

 彼女が罰ゲームを受けるのは一向に構わない。彼女が勝手に賭けて、勝手に負けたのだから。

(それは良い。それは良いんだが、だ。)

 日番谷は思わず米神を抑えた。
 其処には、伊達めがねをかけさせられたタキシード方の日番谷と、真っ黒いメイド服を着ている雛森が確かに目視できた。


218.痛くて

「痛いよ」

 掌握した胸から鮮血の血が零れ落ちる。

「痛いよ」

 悲痛の叫びは誰にも届かない。


 痛くて痛くて、壊れてしまいそう。



219.リセット

 全てが零に戻る。
 全てがやり直しになる。

 君と笑った日のことも
 君と泣いた日のことも

 全てが、零にもどる。

 何度リセットボタンを押しなおしたら、今になるだろうか。
 作っては壊し、壊しては作って、今を創り上げようとする。

 それでもボタンを押さずにはいられない。

 続けていれば、いつか君が、帰ってくるきがするから。


220.不死

「死にたいのか?」

 泣きながら首をふる。

「生きたいのか?」

 泣きながら首をふる。
 静かに、優しく、問答は続く。

 いきたくないよ
 しにたくないよ

 アノ人サエ、生キテイレバ
 アタシハ、生キレルノニ。


 頬に走った熱い痛みに、顔をあげた。
 苦痛に歪んだ彼の顔が、其処にあった。










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