221.原っぱ
二人で寝転んで空を見上げよう
飛ぶ鳥に姿重ねて、瞼を閉じればきっと空も飛べるさ
草の香りがそう、僕らを確かに包んでくれる。
![]()
222.未完成
未完成な地図を書き上げる。
「そうしたら、ね。」
僕らの夢を書き上げる。
「なら、こうさ…。」
少しずつ、少しずつ
未完成な未来予想図を、ホンモノにしていこう。
![]()
223.仕返し
それはささやかな仕返し。
そっときみが、耳元で囁いたから
くすぐったそうに、甘い声で、今日はかっこいいね、っていったから。
そっと、耳を噛んでやる。
そうして耳元で囁いた。
何時も通りに、君は綺麗だねと。
それはささやかな仕返し。
![]()
224.生きろ
「生きろ」
日番谷は、震える声を絞り出した。
それは怒りの声にも似て、涙の声にも似ていた。
「生きろ生きろ生きろ生きろ!」
届くことないと解っている悲鳴を、幾度も繰り返す。
「生きろよっ…!」
枯れた声は、あまりにも醜かった。
![]()
225.タワー
「知ってる?」
「ん?」
「東京タワーってね、戦車で出来てるんだよ」
「…?」
「戦車を溶かしてね、それをまた固めて東京タワーの一部になってるの。」
「へぇ。」
にへっ、と雛森はこちらを振り返って笑った。
「あたしたちが溶けたら、何になるかな?」
なんにもならないだろう、と応えようとして日番谷はやめた。
その題意に対して、あまりにも無粋な気がしたから。